今回はまた当ブログの本筋とはちょっと違った小噺。
自分はバンドをしているのだが、そのバンドでは音源制作の部分も預かっている。
作業環境はもう大体 Waves Audio の「Mercury + Studio Classics」という環境で完結している。
このプラグイン自体は最近ではもうちょっと古臭いと感じる人も多いかもしれないが、一昔前では基準となったプラグインでもあるし、個人的にそんなに目新しい音楽をやる訳でもないし、そこまでがっつりこれで仕事をしているわけでもないので、これがあればもういいかなと思っていた。
と言うか、これに既にかなりの量のプラグインが収録されているので、選択肢が増えすぎるのを恐れていたと言うこともある。
しかし、先日このバンドでコーラス録りをした際のこと。
至って普通のワンブースしかないリハスタで(むしろ設備は中の下くらい?)あんまりちゃんと確認も取らずに勢いでやってしまったということもあり、後で確認をするとクリック漏れがなかなかひどいテイクがちらほら。やっちまった。
かといって録り直すのは避けたい。と言うかそこまででもないパートと言うのもまた半端に悩まされる部分。
なんとかその部分だけカットしながらできないかとも考えたが、完全に被っている部分はどうしようもない。
そこで考えたのはiZotopeのRXシリーズ。
自分のもう一つやっているバンド、そちらの音源制作は仕事として一線で活動しているメンバーが担当しているのだが、そのメンバーがこのプラグインにかなりお世話になっているようだったので名前は知っていた。
まぁ試してみるかと体験版でチェック。
これは流石のクオリティ。
元々欲しかったクリック漏れ消し以外にも、データのクリアランスにかなり有効的に使えそう。
Photoshopの音声版と表現している記事も見かけたが、そう考えるととっつきやすくなった。
と言うのも、自分が普段一番使用しているソフトがPhotoshopだからだ。(最近はAffinity Photoを使用しているが操作はほぼ同じ)
選択した範囲を修正する感じ、Photoshopでいうところの「コンテンツに応じて塗りつぶす作業」(ホクロとか消すようなやつ)とかよく使うのだが、そういう感じで音声のノイズを選択して消していくという作業もできる。
あと、このプラグインの目玉とでも言える「Music Rebalance」機能。
これは普通の2ミックス音源から、ボーカル、ベース、パーカッション類、バッキング類の音量バランスを自由に弄ることができるのだ。
どう言う仕組みなのかは理解不能だが、噂には聞いていたがこれがなかなかの精度。
例えば、スタジオでのリハやライブとかでハンディレコーダーで簡単に録ったり、動画を回したりすることがよくあるが、そういった音源は大体、ドラムが大きすぎるとかボーカルが埋もれてるとか音量バランスが微妙だったり、無駄にボワついたリバーブなどがあり、どうしようもないところがあった。
そう言う場合は、なんとかできないかと、マルチバンドコンプレッサーなどで無理やりドラム成分っぽい部分を小さくしようとするも、全体がこもっていったり、ボーカルを上げようとすると全体がボワついていくとか、落とし所を探すのに無駄に考えてしまって、処理をするにも無駄に時間がかかっていた。
このプラグインだったら、そういった悩みもなくなり、もっと短時間でもっと良いクオリティにできそうなので万々歳だ。
リバーブ量を減らすことができるのもかなり強い。
それから、これがあればボーカルだけ抜いてカラオケテイクを作ったり、ベース単体を再生してコピーとかも簡単にできそうだ。
これは導入せな。
と、ここまで来ると、次は買い方である。
こういったプラグインは単体で買うよりもまとめて買う方がお得になるというのが相場で決まっている。
ということで目をつけたのが、マスタリングプラグインの「Ozone」である。
これはiZotope製品の中でも一際有名ではないだろうか?
人工知能搭載のマスタリングツールである。
だが、個人的に基本的にはミックス段階から自分でやる場合がほとんどなので、マスターには単純にマキシマイザーをかませばいいんじゃないかと思いあまり興味はなかった。
まぁしかしこの機会だしと、また体験版を。
結果、めっちゃいい感じやんと。
特に、前述したミックスの融通の効かないハンディーレコーダーやビデオで録った2ミックスのような素材にかなり有効だった。
これまで時間をかけて悩んで作ってきたものよりもアシスト機能ボタン一つで良くなったのは、喜ぶべきか複雑な心境やが。。。
音圧も適度なLUFS値を提案してくれるのが助かる。
ここも意外と神経使っていた部分なので。
アシスト機能も、EQやエンハンサー、コンプレッサーなど、使うべきエフェクトの提案や、エフェクトのかけ具合なども、その素材に応じて提案してくれるので勉強になる感じがする。
答え合わせ勉強や。
人工知能侮れん。なかなかやるなと。。。
そうなってくると、ミックスの段階から使ったらどんなだろう?とNeutronやNectarといった製品も気になる。
ということで、Nectarは体験版がなかったので、Neutronの体験版を。
ざっと使ってみた感じ、特にドラムが手軽にまとめられるのはとても良かった。
キック、スネアトップ、スネアボトム、オーバートップL、オーバートップR、ハイハット、ハイタム、フロアタムの8トラック分、完全にすっぴんのデータをアシスト機能で読み込んだだけだが、音のバランスや音色の方向性なども普通にいい感じにまとまった。
ギターとかは自分でやった方がイメージに近かったが、それもいろいろ設定もあるようなので、やりようによっては超えてくる可能性はある。(恐ろしい)
Nectorは使用できなかったが、「Unmask」機能とかかなり良さそうだ。
人工知能プラグイン、他にもNeoverbっていうリバーブも良さげ。
うーむ。欲しいものが増えていく。
しかしここまで見てきて、今の自分にはこの人工知能系プラグインこそが必要なものなんじゃないかという気がしてきた。
というのも、自分はこのミックス作業にどうしても一定以上の時間を取られてしまっているということが悩みの一つであった。
うちのバンドはリハの度に録音もするのだが、頻度なども考えると、その時間は自分のライフワークの一定時間をどうしても削るものとなっていた。
自分の時間の使い方が下手ということや、こだわりを捨てきれないという性格のせいでもあるが、ここに時間を取られすぎて、楽器の練習や作曲、単純に遊びに行くとか、そういう部分が「これがまだできないからそんなことやってる場合じゃない」と、色々と犠牲にしてきてしまっていた。
まぁ自分は「クリエイター系なんでも屋」というスタンスで、軽いミックスも今後仕事にできればと、勉強を兼ねてやっているので無駄なことではないと思ってはいるのだが、それでも若干出遅れ感はあるし、現状の自分の作業ペースを考えるとそんな余裕がないということは容易に判断できた。
そういった状況が、これをうまく使えば結構な時短が図れそうやし色々な問題が解決できるんじゃないかと。
(まぁまた選択肢が増えて悩む可能性も微レ存やが)
ということで、色々と考えた結果「Music Production Suite 4」が自分に一番マッチしてそう。
RX 8はStandardなのがちょっと気がかりだが、、。
というのも、Advancedにしか入っていない「De-wind」は個人的にかなり使いそうだからだ。
外でのライブとか適当な日常動画などを撮る機会が割とあるので、風音が気になるシチュエーションはかなりありそう。
実際に体験版で風の気になる素材でチェックしてみたが、かなり効果的だった。
で、StandardだとDe-windが使えないので、これを使わないでどこまで修正できるかも検証はしたが、やはり「De-wind」に勝るものはなかったので。。。
まぁでも「Vocal Synth 2」は今やってるバンドのボーカルにかなり使えそうだし、「R4」や「NIMBUS」といったリバーブも良さそう。
それに、RXはもう直ぐバージョン9が出るらしいので、アップデートで安く手に入る可能性もあるので、とりあえずこのバンドルで折り合いを付けるとする。
ということで、最安を探していたらこちらを発見。
なんと ¥ 34.800 !!!
ちなみに通常価格は
¥ 115.390
ちなみに全てを個別に購入した場合
¥ 339,680(税込) → 割引額:¥224,290(税込)
これを見たらもう買うしかないなと。
むしろ安くなりすぎててなんか裏があるんじゃないかとポチるまで何回も躊躇ってしまった。
けど普通にインストール完了。
良い買い物ができた。
今回はクリック漏れをしてしまったというアクシデントから始まった騒動だったが、こういう機会でもなかったらこのプラグイン導入も考えなかったと思ったので、むしろ良い機会になったかもしれない。
めでたしめでたし。